「最近ちょっとしんどくてさ……」と話し始めたはずなのに、
気づけば目の前の人が「わかる、私もね!」と自分の話を延々と語っている。
――そんな経験、ありませんか?
自分が相談したい側だったのに、
いつの間にか“相手の話を聞く側”になってしまっていて、モヤモヤ。
「いや、今は私の話だったんだけど…」と心の中でつぶやいて終わる。
これ、意外と多くの人が感じている小さなストレスです。
この記事では、
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なぜ人の話をすぐ“自分の話”にすり替えてしまうのか
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そのときの心理や背景にあるもの
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話を奪われたときの対処法
などについて、やさしく掘り下げていきます。
「話をすり替える人」ってどんな人?
話題が自分に向いているときでも、
なぜかすぐに「それより私もさ~」と話の主役を奪ってしまう人、周りにいませんか?
あなたが困った話をしているのに、
「そんなのまだマシだよ、私なんてさ…」と返されて、
気づけば自分の話はどこかにいってしまっている。
よくあるパターン
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相談に乗ってほしかったのに、「私も大変だった話」が始まる
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「わかる」と言いながら話を横取りされる
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こちらが話してる途中で、すぐ自分の体験談にすり替える
こういった人は、悪気があるとは限りませんが、
結果的に「聞いてほしい気持ち」をくじいてしまうタイプです。
特徴としてよく見られるのは…
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話すこと自体が好きで、会話をリードしたがる
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相手の話題より、自分の話の方が重要だと無意識に思っている
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「共感」のつもりで自分の話を挟んでいる(が、伝わっていない)
つまり、「聞き上手」とはちょっと真逆のタイプともいえるかもしれません。
なぜ“人の話”から“自分の話”にすり替えるのか?
相手が悪気なく話題を横取りしてしまうのには、いくつかの心理的な理由があります。
ただの“わがまま”ではなく、その背景には不安感・承認欲求・癖のような反応が潜んでいることも。
1. 自分の方が大変だったと言いたい(マウント思考)
「私の方がもっと大変だった」「あのときはもっとひどかった」など、
ついつい“上をいこう”とするような言い回しをする人は、相手より自分の方が頑張っていると思われたい気持ちが強い場合があります。
これは無意識に「優位に立ちたい」「共感より評価されたい」と感じてしまう心理の表れです。
2. 共感のつもりで自分の話をしている
「わかる、私もそうだったよ」と言いながら、実は話の主導権が自分に移ってしまうパターン。
これは**“共感のつもり”がいつの間にか“自己語り”に変わっているケース**です。
本人は「わかってるよ」「同じ気持ちだよ」と伝えたいだけでも、
受け取る側としては「話を奪われた」と感じてしまうことも。
3. 自分の話題の方が安心できる
人の悩みや辛さに直面するのが苦手な人は、
話の重さや深さに無意識にプレッシャーを感じて、自分の土俵=安心できる話題に持ち込みたくなることがあります。
これは一種の防衛反応で、「聞く力」の弱さというよりは、“受け止めること”への不安から来ている場合もあります。
その人は悪気がある?ない?
「話をすり替えられる」と感じたとき、
つい「この人、自分の話ばっかり…」とイラっとしてしまうかもしれません。
でも実は、“悪気がない人”も意外と多いのです。
悪気のないパターン
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共感を伝えるつもりで、自分の話をしてしまっている
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「経験談で励ましたい」と思っている
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会話の流れを盛り上げたいだけ
このような人は、相手の話を軽く見ているわけではなく、
むしろ「同じように悩んだことがあるよ」と伝えたくて話していることもあります。
ただ、聞いてほしい側の気持ちをくみ取る力が足りないだけなのです。
少し注意が必要なパターン
一方で、
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会話の中心を常に自分に戻す
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「自分の方が上・大変・正しい」と主張し続ける
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相手の話には関心を示さない
こういった傾向が強い場合は、“話を奪うクセ”が強く根付いている人かもしれません。
悪意はなくても、他人の話を尊重する意識が薄く、自分中心になりがちな性格です。
いずれの場合も、相手の意図を100%悪くとらえる必要はありません。
ただし、毎回こうした会話になるようなら、
こちら側でできる工夫や距離の取り方も大切になってきます。
話をすり替えられたときの対処法
「また話を奪われたな…」と感じたとき、
モヤモヤしながらもそのまま聞き役に回ってしまうことってありますよね。
でも、少しだけ工夫すれば、相手との会話の流れを変えることも可能です。
ここでは、実践しやすい対処法をいくつかご紹介します。
1. 軽くツッコミを入れて話を戻す
「おっと、今は私の話だったよ〜」
「それも気になるけど、さっきの私の話ちょっと続けてもいい?」
冗談っぽくツッコミを入れると、相手も気づいて軌道修正してくれることがあります。
深刻にならず、軽やかに主導権を取り戻せる方法です。
2. あえて聞き役に徹しすぎない姿勢を持つ
相手が話し出しても、すぐに「そうなんだ〜」と聞き役に徹してしまうと、
会話の流れはそのまま相手中心に進んでしまいがちです。
相槌を打つにしても、「でも、私の場合はね…」と自分に戻す力を持つのも大切です。
3. はっきり「今は私の話を聞いてほしい」と伝える
これは少し勇気がいりますが、関係性がある相手なら誠実に伝えるのも一つの方法です。
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「今日はちょっと聞いてほしくて話してるんだ」
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「今は、私の話だけを聞いてもらえると助かる」
こうした言い方であれば、責めることなく気持ちを伝えることができます。
4. 毎回同じパターンが続くなら距離を見直す
あまりにも頻繁に話を奪われるようであれば、
その人との会話に「疲れやすさ」を感じている可能性があります。
無理に話をし続けるよりも、「この人には深い話はしない」と線引きするのも、心の健康を守る選択肢です。
まとめ:「聞いてほしいだけなのに」が伝わらないこともある
誰かに話を聞いてほしかっただけなのに、
気づけば相手が自分の話を始めてしまっていて、
「あれ?今、私の番じゃなかったっけ…」と感じるあの瞬間。
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悪気なく話題をすり替える人
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共感のつもりが自己語りになる人
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話すことで安心したい人
その背景には、いろいろな心理や癖が隠れています。
すぐに相手を責めたり落ち込む必要はありませんが、
「ちゃんと聞いてもらいたい」という思いがあるときは、
・話を戻す
・空気を変える
・素直に気持ちを伝える
といった小さな工夫で、会話の流れを取り戻すこともできます。
人と話すって、ただ言葉を交わす以上に、心のやりとりなんですよね。
「わかってほしい」と「わかりたい」が、
ちゃんとすれ違わずに届くといいな――そんな気持ちで向き合っていけたら、
もっと心地よい会話が生まれるのかもしれません。