PR

竹が急速に成長する秘密 ~ 1日に1mを超える成長率!

日常生活

竹は日本の風景に溶け込み、古くから様々な用途で使われてきました。しかし、西洋化の進展や安価な海外製品の流入により、竹製品や筍の国産量は減少しています。

それでも、日本の至る所には依然として竹林が広がり、春になると筍掘りを楽しむ人も少なくありません。竹はイネ科に属する常緑多年草で、日本国内には約600種、世界的には約1200種が存在するとされています。

樹木のように年ごとに幹が硬く太く成長するものと、草のように幹が硬くなったり太くなったりしないものがありますが、竹は幹が硬いものの年輪を形成せず、最初の年で成長が止まり、以後は成長しないという特性を持っています。

このように、竹は樹木でも草でもない、ユニークな特性を持つ生物です。竹のもうひとつの顕著な特徴は、その驚異的な成長速度です。

この記事では、竹がなぜこれほどまでに速く成長するのかについて解説します。

 

スポンサーリンク

竹の迅速な成長の謎

竹は他の植物と比べて顕著な繁殖力を持ち、その成長速度は驚くほど速いです。

春が来ると地面から顔を出す筍は、実は竹の若芽の一形態です。これらの筍が伸びて成熟する過程で竹となります。

竹の茎は、成長が完了すると約20メートルの高さに達しますが、この成長期間はわずか50~60日間に過ぎません。

一般的に樹木の幹に相当する部分を、竹では「竹稈」と称します。

成長のピーク期には、1日で1メートル以上も伸びることが報告されており、特に真竹では121センチメートル、孟宗竹では119センチメートル伸びたという記録があります。

竹の成長速度がこれほどまでに速い理由は主に2つあります。

複数の成長点を持つ竹の独特な構造

竹の驚異的な成長速度の背後には、その独特な構造が大きな役割を果たしています。ほとんどの植物が茎の先端のみで成長するのに対し、竹は異なります。

竹は先端だけでなく、節ごとにも成長帯を持っています。これらの成長帯は細胞分裂を活発に行い、竹が速やかに伸びることを可能にします。一本の竹には平均して約60個の節が存在し、それぞれが同時に成長を促進します。これにより、竹はまるで提灯が開くように素早く伸びることができます。節の数は竹の若い時期に決まり、その後増えることはありません。

地下茎からの栄養供給による成長

竹の成長においてもう一つ重要な点は、地下茎から得られる栄養分によるサポートです。一般的な植物が種子に蓄えられた栄養を使い果たすと光合成で自ら栄養を作り出すのに対し、竹は異なります。

竹は地下茎を通じて繁殖し、この地下茎が実質的な本体となっています。竹林は地下茎で互いに繋がっており、実質的には一つの大きな植物体として機能します。この結果、一つの竹が病気にかかると、他の竹にも影響が及ぶ可能性があります。

春に地上に現れるタケノコは、地下茎から直接栄養分を得て成長します。特に孟宗竹の場合、タケノコは春に急速に成長し、約2ヶ月で成長を終えます。成長後、地下茎は新たに伸び始め、約4ヶ月で約8メートルもの長さに達します。この期間中に蓄えられた栄養分は、次の春に現れるタケノコの成長に利用されます。

このように、複数の成長点と地下茎からの栄養供給が竹の急速な成長を支えています。

 

なぜ竹林の面積は拡大していないのか?

竹は地下茎を通じて迅速に繁殖し、理論上はその生息域を広げ続けることが可能です。しかし、現実には竹林の面積は増加していないのが実情です。

竹林は主に筍や竹材を生産する目的で人工的に管理されています。竹が5年を超えると、地下茎の活動が衰え、それに伴い筍の生産量や品質が低下します。このため、質の高い筍を確保するためには、5年ごとに竹林を更新する必要があります。これは、古い竹を伐採し、新しい若竹を残すことで、連続して高品質な筍を生産し続ける管理方法です。

さらに、竹の生態には開花後に全て枯死するという珍しい特性があります。竹の開花周期は種によって異なり、真竹では約120年に一度、孟宗竹では約67年に一度の間隔で開花します。過去には、特定の時期に世界中で真竹が同時に開花し、その後枯死する現象が観察されました。この自然現象により、竹林の自然な更新が行われ、繁殖が制限されることもあります。

これらの理由から、竹林の面積は自然拡大することなく、むしろ人間の手によって厳密に管理されているのです。

 

「竹害」とその対策:まとめ

竹はその急速な成長能力と地下茎による広範囲への拡散力で知られています。これらの特性は、管理されていない竹林が周辺の農地や住宅地へと拡大し、様々な問題を引き起こす原因となっています。

地下茎による竹の伸長は1年で約8メートルにも及ぶことがあり、放置された竹林は急速に面積を広げていきます。この結果、隣接する田畑に侵入し、農作物に被害を与えることがあります。さらに、民家の敷地内に侵入した場合、床下から生えてきたタケノコが建物の構造に影響を及ぼすこともあります。

竹林の管理不足が引き起こすこれらの問題は「竹害」と呼ばれ、地域社会にとって深刻な懸念事項となっています。

竹を庭やガーデンに植える場合は、その強力な繁殖能力と拡散力を考慮し、適切な防護措置を講じることが重要です。敷地の境界線に鉄板やコンクリートの壁を設置することで、竹の無制限な拡散を防ぎ、竹害を未然に防ぐことが可能です。

この記事では、竹の成長速度がなぜ速いのかという点から竹害の問題に至るまでを解説しました。竹の持つ美しさと実用性は魅力的ですが、その繁殖力と侵攻性を理解し、適切に管理することが重要です。

 

タイトルとURLをコピーしました